Book Reviews (マイブック評)

40翼ふたたび 石田衣良  講談社文庫  7/2/14

July 2, 2014

吉松喜一は、御年40歳。入社17年目の広告代理店をばっさり退職、フリーランスになった。気持ちの優しい「きいさん」に、舞い込んで来る仕事(もしくは相談事と言ったほうが良いけど)の周辺を描いた中年万歳小説。それぞれの章に登場する相談者達は、皆問題を抱えていて、それを「きいさん」がポジテイブに方向転換させるという、ある意味ヒーロー小説。そして、最後に全員参加のイベントが、「きいさん」とその仲間で開催され、めでたしめでたしとなる締めで、問題を抱える我々への応援歌になる。軽いタッチで、重いテーマを描いた小説。もし貴方が灰色の人生に絶望していたら、現実に「きいさん」がいる訳ではないけれど、この本で、ちょっとホンワカするかもしれない。