Book Reviews (マイブック評)

今夜もベルが鳴る 乃南アサ  詳伝社文庫  5/8/13

May 8, 2013

これも精神に支障を持った殺人者のお話し。「変身妄想」という病名が本当にあるのかどうかは分かりませんが、「ある特定の人物に憧れ、彼・彼女を模倣したい、あの人のようになりたい」という願望から始まり、自分が誰だか分からなくなる、精神障害。この「変身願望」と「恋愛願望」を同時に描く(もちろん違う登場人物だけど)、恋愛サスペンスとでも言うのでしょうか。主人公のゆかりの行動については、普通だったら、こんなことは絶対しないぞ、など若干疑問がもてないこともないけれど、電話線(古いコンセプト、だけど書かれた年代がはっきりしないのでOK)を通じての恐怖が、本の全編にヒソヒソと漂う。現在のネット社会の恐怖に比べれば、もしかしたら、救いようのある恐怖かも、と思う、携帯べったりの私です。