ピエタ  大島真寿美  ポプラ文庫 7/24/16

July 24, 2016

これは、ヴィヴァルデイ(バロックの高名な作曲家 – Antonio Lucio Vivaldi 1678-1741)と彼が生涯関わり続けた女子の孤児院(ピエタ- Pieta)の物語。もちろん、ピエタの事は知っていたし、ヴィヴァルデイが数々の名曲を、彼女達に作ったことも知っていたけれど、その背景や歴史的状況を考えたことがなくて、この本は改めてあの当時の音楽環境や生活を考えさせてくれた。それもとっても、深く。史実に基ずくお話しで、本当に作中に出てくる女性達が生き生きと、描かれている。残酷な現実を受け入れ、ふわーっと、有意義に、温かく生きるエミーリア。その類い稀な才能で、歴史上に名前を残すことになった、アンナ・マリーア。ヴィヴァルデイは、彼女の才能に触発され、技巧的な素晴らしいコンチェルトを沢山作曲した。登場人物の心の叫びが、優しさが、泪が、謙虚な愛の告白が、私を包み、しばしばこちらも彼女達と一緒に泣いた。長い時間をかけた緻密な下準備だったであろうけれど、この本の出来は最高。十八世紀のヴェネチアに遊んでみませんか。運河が広がる、ロマンチックで文化に溢れる町。飽和状態の中で退廃も進む貴族社会で、ピエタを信じ、自分をしっかり持ち、真実を見つめる。貴方もきっと、感動して涙することでしょう。