しずく 西加奈子 光文社 1/15/18

January 15, 2018

長編ものが多い西加奈子さんの、宝石のような短編集。西さん独自の目線から見る、日常の一コマを捉え、(陳腐な言い方ですみません・・)素敵なストーリーに仕上げている。6編あるけれど、甲乙つけがたく、どれも「好き」としか言いようがない。どれも、「正直さ」が良い。「潔さ」が良い。「優しさ」(これも日本の文化を論じる時に余りにも使用される言葉故、陳腐感が否めないのですが、本当にそうだから、仕方ない。語彙の貧困な私です・・)が良い。例えば、こんな表現が「灰皿」という短編の中にある。・・・少し荒れていた彼女の唇は、甘いもので潤ったのか、つやつやと光っていました。まるで唇それ自体が甘いお菓子のようで、そこから響いてくるあの人の名前は、どこか遠い国の、見こともない美味しい食べ物の名前のようでした。・・・何と美しい描写!もうその光景が、私の目の前にあるみたい。西加奈子の小説が男性だとしたら、私はかなり恋に狂っているということになる。本当に。