光の指で触れよ 池澤夏樹  中央公論新社 3/11/18

March 12, 2018

初めて、池澤さんの御本、読ませて頂きました。そして、とても気に入りました、その世界感に。その精神性と、日本的宗教観。新聞の連載小説として書かれたようですが、読者は毎日わくわくしたでしょうね。そして、同時に重い課題を与えられた事でしょう。夫婦と二人の子供、夫の愛人、その周囲を固める友人達の、真実を求める旅。例えば、主人公の妻が、スコットランドでパーマカルチャーを実践している友人に聞く場面がある。「こういう暮らしって、不安ではないの?もしもジャガイモの収穫がなかったらとか、もしもあそこに嵌める窓枠が見つからなかったらとか、考えないの?」と。すると、友人が「では、どんな暮らしならば不安でないか?何ならば絶対の安心の保証になる?」と言う。そして友人は続ける「外に保証はない。保証は自分の中にしかない。・・・・」この会話には、心底揺さぶられました。今でも、かなりガーンと来ていますね。文体も美しく、その中で漂う精神の会話がとても素敵で、究極を究めようとするも、がんじがらめにならない余裕がいつもある。池澤さんの次の本を読むのが、とても楽しみです。