銀河鉄道の父  門井慶喜   講談社文庫 7/10/20

July 10, 2020

不思議な引き合わせかも・・原田マハさんの「たゆたえども沈まず」でのゴッホとの時間の後に、この本。ゴッホも宮沢賢治も、生前は全く売れなかった。だけどゴッホには最愛の弟テオが、宮沢賢治にはその生涯を大きな愛で見守り続けた父がいた。両者とも短命である。しかし、その短い生涯で全て語り尽くした感がある。賢治の父政次郎は、「父親像」に乗っ取って、厳格であろうする。だけど、その愛は無償で、もう手のつけようが無いくらい、真実だ。幾つになっても、どうしようもなく、可愛いのだ。そして心配でしょうが無い。これは、「たゆたえども沈まず」同様、フィクションである。しかし、その題材がとてつもなく魅力的で大きいので、それを自由に作家の中で膨らませることが出来る”小説”は、何と素晴らしい事か。日本人なら多分誰でも知っている宮沢賢治。しかし、父親を通して賢治を見、その家族に触れると、とても新鮮に、生き生きとしてくる。宮沢家の喧騒が、紙面を通じて伝わってくるようだ。涙なしには読めない、感動の一冊である。