クスノキの番人 東野圭吾  実業之日本社  9/1/20

September 1, 2020

東野さんのご本のファンになって、もう久しい。様々な登場人物がいたと思う。今回は、そう、大きな大きな「クスノキ」が、主人公である。この楠、普通の樹木ではない。大層不思議な力を持っている。新月と満月の夜に、「クスノキ」は我々の祈念に耳を傾けてくれる。そして、一つの家族が、長い年月受け継いで来た「クスノキ」の番人という仕事。これも、この本の大事なキイポイントだ。「番人」は、ただの守り人ではない。祈念する人々の、心の番人だ。そして、祈念に来る人は、意を決し自分に素直になって、「クスノキ」の祠に入る、そして祈念する。その祈念には、特別な蝋燭が必要で、この本を読んでいると、その芳香が身辺に漂うようだ。とてもスーパー・ステイシャスなのだが、その浮世離れ感が、逆にとても良い。テンポ感も良い。人間の方の登場人物達が、祈念という概念の中で、己の道を見つけて行く。感動の長編である。