Blog and Book Reviews

蛇にピアス & 軽薄 金原ひとみ 7/31/17

July 31, 2017

綿矢りさの「蹴りたい背中」と一緒に、2004年度の芥川賞を受賞した作品。まあ、海外にいるので、文壇の情報などにも疎く、今頃読んでいる訳です。こう来ましたか、という感じかなあ。確かに、暴力度最高なので、そのパワーに度肝を抜かれるというのは否めないけど、根底は究極の優しさだと思う。そして幸せの究明。私自身、スプリットタンにも入れ墨にも興味は全くないけど、人それぞれ、興味の対象も違うし、自分に対してどこまで出来るかという、挑戦の方向性も違う。京都の西陣織の職人なら、その道を究めようと切磋琢磨するだろうし、植物学者ならアマゾンの山奥に、目指す植物を探しに行くだろう。

いくつか彼女の初期の作品に目を通したけど、暴力全開、猥褻全開の世界感。そして、「軽薄」を読んだ。芥川賞から約12年経ち、結婚しお子さんも二人いらっしゃるご様子。アンダーグラウンド臭でぷんぷんしていた初期の作品から、「軽薄」の主人公は裕福層でカッコ良い仕事をしている。でもやはり「殺す」「死ぬ」という愛情表現がテーマだ。甥を愛し、心を埋めようとする30代既婚女性。そしてすべてを捨て解放されると言う。でもその後の人生は?いつでも「何か」の最初は、新鮮で素敵だ。その継続が、最も難しい。

Movie “The Chinese Lives of Uli Sigg” 7/29/17

July 29, 2017

This movie goes through the recent Chinese history, especially Chinese contemporary arts, with Sigg’s experience with China. Sigg was working for Schindler Escalator and Elevator Company and he was hoping to set up the first joint ventures between Chinese government and his company in 1979, in the post-Mao era. After he finished his assignment with Schindler he was assigned to become an Swiss ambassador to China, and he started to collect Chinese contemporary arts, mainly for his official residence first. And eventually he built a world-class personal collection of Chinese contemporary arts. He introduced talented young artists to the world, and their arts became so popular and so expensive (!). So he advocated to Chinese arts and artists, Ai Weiwei, and in return (!) his collection became so valuable. Sigg is an interesting person, who has been super successful in commercial company, as a diplomat, as an art collector and as a human being! Sigg shows and talks to us about a hidden side of a complex and mysterious country.

蹴りたい背中  綿矢りさ 河出書房新社 7/21/17

July 21, 2017

綿矢さん、この作品で、芥川賞を取られたんですよね。とても不思議な世界。非現実なんだけど、ふっととんでもなく身近になる。斜に構える主人公の女の子、時に親近感持てましたよ。人と人との心の繋がりって、ルールもないし、マニュアルもない。「蹴りたい背中」が、この本の中では最大の愛情表現。でもさ!もし本当に愛する人がいて、その人の足裏を背中に感じたら、それはとても素敵なことかもよ。

恋のゴンドラ  東野圭吾 実業之日本社 7/21/17

July 21, 2017

引き出しのとっても多い東野さん。今回は、こう来ましたか!もちろん、スノーボードに打ち込んでいらっしゃるので、こういう本を出す事になったのでしょうけど(スノーボードの雑誌に収録されていたものを、まとめたらしい)、ええ!こんな可愛いお話しもつくっちゃうの??という、驚きとともに、読みました。女子のトイレで話されるような話題、典型的な男女のもめごと、可愛いい女性達、友人達によってくっつけられる男女、これを書いている今でも、何だか信じられない!もう、やだーー、と思わず、ガールズトークになってしまいます。肩のこらない、恋愛小説が読みたければ、どうぞ。スノースポーツが好きなら、尚更お薦めです。

マイストーリー 私の物語  林真理子 朝日新聞社 7/21/17

July 21, 2017

作者の言いたかった事は、帯を見れば一目瞭然。「人は、自分のことを語る時、思い出したくないこと、喋りたくないことは絶対書きません。都合のいい綺麗なことばかり書きます。それでいいんです。それだから自費出版なんです。もし客たちが、自分の恥部をすべてさらけ出すようなことが出来たら、彼らは作家になっています。」この本は、インターネットにあふれる飾った文章、気取った文章、カッコつけた文章、自分の夢見る自分になれるインターネット、それを自費出版の世界と並行させて、書いている(本の中にネットばなしは、はっきり出てこないけれど、ブログ文化が根源にあるのは間違いなし)。でも「なりきれる」人って、強い!羨ましいくらい。様々なネットの形態を使って、人は自分の事を話す、はなす、ハナス!そして、なりきる。現実といくら離れようとも、気にしない。林真理子の新しい境地。はまって、長編だけど、一気に読んでしまいました。

Movie “Lost in Paris” (Paris pieds nus) 7/9/17

July 9, 2017

It is the best summer movie! I truly enjoyed every moment. If you are happy now you should see it so that you will be merrier. If you are less happy you should also see it so that you will be really happy. It is my first experience to see the movie by Dominique Abel and Fiona Gordon. They write, direct and act. And they are lovers in the real life! I love their witty humor, quirky imagination, unrealistic reality, mindful silliness, energetic craziness …. It is just so FUN! And it is a sophisticated one! Fiona (Gordon) lives in a small town in Canada as a librarian, but her orderly life is suddenly interrupted by the letter from her 88years-old aunt, Martha (Emmanuelle Riva) who has been living in Paris. She asks for Fiona’s help. Fiona awkwardly responds to it and left the town for Paris. Then the story “Lost in Paris” starts! She will meet Dom (Abel) and whimsical things happen one after another! It is a MUST movie.

 

 

私をくいとめて  綿矢りさ  朝日新聞出版 7/7/17

July 7, 2017

まさに、新しい感性。とってもこういう感覚分かるよ!と思いながら読むけど、発想がとても新鮮。驚きの連続、逆転あり、涙あり、みつ子の人生、七変化!綿矢さんの本、しばらく読みますよ。

シルエット 島本理生 講談社 6/27/17

June 27, 2017

島本理生さんの研ぎ澄まされた感性が全編から感じられ、素敵な読書時間を送った。15歳と16歳の時に書いた超短編も一緒に収録されている。15歳っていったら、中学3年かもよ!その若さで、宇宙空間遊泳しているような’文章が、どうして書けるのか・・・経験というものがなく、頭の中でイメージが湧き、そこでペンを取って、それが文章を紡いでいく訳。今後も、島本ワールドにお邪魔しますよ!

虚ろな十字架 東野圭吾 光文社 6/27/17

June 27, 2017

人間皆、多かれ少なかれ、間違いを犯しながら生きている。間違いを犯したときに、それを自分で認められる強さがあるかないかで、人生の舵取りが決まると思う。認められないと、それを何とか正当化しなくちゃならないし、挙句の果てには、うそをつくことになる。一回ついた嘘は、それを正当化して前に進むため、さらに迷宮に入る事に。この小説も、この当たりをテーマに描いている。そして社会問題にもなっている犯罪にあける加害者・被害者の関係も浮き彫りにしている。

悪意 東野圭吾 講談社文庫 6/27/17

June 27, 2017

一転二転三転・・・一つのベールを解き明かすと、次のベールに包まれ、又闇の中へ。「悪意」の最高の解釈で、犯人像を作り上げ、犯人が思いもしなかった角度から、その謎を明かす。きちんと頭の中を整理して読んでいないと、複雑かつ巧妙なトリックにまんまと引っかかり、蜘蛛の巣にからまれるように、にっちもさっちもいかなくなる。そして読者もその蜘蛛の巣にからまれ、本から離れられなくなる。ずっしりした推理小説が読みたければ、この「悪意」是非読んでね!