Book Reviews  マイブック評

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劫尽童女  恩田陸  光文社 10/26/18

October 26, 2018

私、正直言ってSF物は苦手なので、この本、最初読み始めた時は、どうしようかなあ。。。と迷っちゃって、すぐに読み始めなかった一冊です。「劫尽童女」は、超SFとも言えるけど、人間の悲しい一面と愛を書き切った、人間そのものとも言える小説です。人間の強さって何だ、愛するって何だ、ということを、超人間の童女を通して描いています。表紙の絵が、何を表しているのか、どういう観点でこの小説の表紙になったのか、ちょと訊ねてみたいですが・・

私と踊って 恩田陸  新潮社  10/26/18

October 26, 2018

普通、短編集と言うと、クッキーの詰め合わせみたいな感じで、それとなくまとまっているものですよね。それが、なな何と、この短編集、キムチあり、ポタージュあり、はたまた、寿司に天ぷらと、何でもありの短編集なのです。しかし、そこが恩田さんの凄いところで、全編読むと、やっぱり同じ作者なんだなあ、と納得してしまう。デイヌ・リパッテイを題材にしたものから、賢い犬・猫のホラー物語まで、作者の懐の広さ、果てしない興味の奥行が出ています。一編一編が短いので、ちょこっと読めますよ。

恩田陸 チョコレート・コスモス  朝日新聞社 10/7/18

October 7, 2018

恩田陸3作目!これも、期待通り。前回読んだ本は、デイープな音楽家の本だったけれど、今回は更にデイープな俳優のお話し。これも多分(私は俳優業を営んだ事がないので、想像だけど)、俳優という業をはるかに超えた人物を登場させる事で、ドキュメンタリー調でなく、ファンタジーとなり、成功しているのだと思う。主人公の飛鳥は、すべてにおいて超人間。その周りに、天体ではないけれど、いろいろな星が周り(キラキラの星もあれば、暗めの星座もある)、物語が生き生きと進む。”演じる”事に憑かれた人々の、”演じる事”を究極’に求める、終わりのない旅。そこにちょっと参加させてもらって、”演劇”の世界を見せてもらった。

蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎 9/28/18

September 28, 2018

恩田陸さんの「夜のピクニック」がとっても良かったので、それじゃあ、直木賞を取ったこの本も、と軽く手に取った本。ところがどっこい、何とピアノコンクールを題材にした、超大作。音楽にしたら、ワーグナーのオペラである。まあ。言ってみれば私の専門分野。冒頭で、コンクールの審査員の一人が、演奏者に対して非常な嫌悪を催す一節があるが、私も自分の分野であることもあり、「何だーー。知ったかぶりして!」というような、反応をしてしまうかと、思ったのだけど、この作者、大物である。コンクールのドキュメンタリーではなく、完璧で高貴な小説なのである。緻密な取材、インタービューをもとに(浜松国際ピアノコンクールを基盤にしているのは、間違いないと思う)、完璧なフィクションに仕上がっている。音楽のビジネスの現実的な部分を根本に、とても素敵なファンタジー。音楽コンクールを使って、人間の深淵に臨み、愛を語らい、葛藤を描く。「演奏家」である事の真実を、小説家がこれほどまでに描けるのか。。。びっくりするぐらい、「演奏家」の真実にも触れている。しかし一番大事な点は、相反するようだが、究極的に非現実であるところだ。。私の知る限り、登場人物達は、余りに素敵すぎ、大天才すぎる。でも、それで良いのだ。だって、これは、小説だから。それも、とっても素晴らしい一冊だからだ。

恩田陸 夜のピクニック 新潮社 9/17/18

September 17, 2018

中々、良い小説ですよ!高校生活最後の経験として(一年生も二年生も参加しているが)、夜を徹して長距離を歩き、そこでいろいろ話し、経験し、学び、次へのステップへの道筋を見つけるという、体育系でもあり、文科系でもある、総合小説。私自身も最近、女子中学時代の友人4人と、一泊旅行に行き、中年で似たような経験をした。旅を共にするのは、時間の共有だから、話しが沢山出来る。そして、学生時代(それも中学時代)の友人となると、カッコつける必要なし!今更化けても、意味がないのだ。すっぽんぽんで居られるのは(温泉入浴も入れ)、大変気持がよい。バカ話しの合間に、バスで隣に座った時など、相談事をしたりする。景色も良いし、食事も最高(私達の場合は!本の中の高校生達は、苦行である)!情報過多、インターネットに振り回される毎日を忘れ、こういう「時間」を共有するのは、人生の真の喜びだと思う。私はこの中学時代の友人達に、いろいろな場面で、そっと助けられて来たし、これからも、私の人生の大切な一部分になる事は、間違いない。「夜のピクニック」はそういう意味で、老いも若きも、楽しめて勇気をもらえる小説だと思う。是非お勧め!恩田さんの本、他も読んでみます。

Convenience Store Woman (コンビニ人間)Sayaka Murata (村田沙耶香) Portobello Books 9/10/18

September 10, 2018

I got this book at Hong Kong Airport. I saw the review on “Convenience Store Woman” on LA Times a little while ago, and I was interested in reading it. The translation from Japanese to English is very quirky and funny, for purpose, I think. It sometimes sounds some of bad owners manuals in English we found in Asian products! The Convine (an abbreviation for a convenience store) is totally a Japanese culture! People take it as a sanctuary, a hang-around place, a restaurant (you can find basically everything there), etc.. Things are packed so neatly (as you imagine in Japan!) and everything is done according to manuals. The store opens 24 hours/7 days all year-long, and it is always clean and organized! So the character in this book, Ms. Furukura, loves rules and manuals. In all her life she struggled to fit into the society, and finally she found “Convine” as her comfortable place to be. She feels she is a part of the store. Her life is to work at the store, she tries to sleep and eat well in order to work well at the store. I don’t want to give away everything! You have to read the rest of the book, whether in English or Japanese! I liked the most about this book is Ms. Furukura’s family. They accept her weirdness and peculiar attitude, and simply love her. It is about the Japanese culture, but it applies to everywhere. How do we want to be an individual human-being? Everybody is different.

破門 黒川博行 KADOKAWA 9/4/18

September 5, 2018

うーむ・・・・出だし好調!だけど、最後の3分の1は、どうやってこの本を終わらせようか、ばっかり考えていました!直木賞受賞作という事ですが、「本当?」というのが本音です。「ヤクザ」ライフを、面白く切り取り、発想としては最高だけど、枚数だけ多く、後半失速という感じです。しかし、半分くらい読み進んだところで、辞めるに辞められず、取り敢えず読破しました。半分くらいの枚数で、ビシッと!締めてくれたなら、最高得点を出すところでした。

怪笑小説 東野圭吾 集英社文庫 8/15/18

August 15, 2018

さすが、東野さん!大阪人のユーモアか、はたまた、超天才頭脳のなせる”怪笑”か。私は、東野さんの、超天才頭脳のなせる業と思いますね。9編の短編から構成されている、短編集。そのどれもが、完璧”怪笑”なのだ!ご本人の後書きに、それぞれの短編の由来というか、背景が語られているのも、大層よろしい。東野さんの、人間観察考とも言える、深くてけったいなお話しは、それぞれに、人生の深きを見、揶揄し、批判し、それはそれは、面白い。私の一番のお薦めは、最後に収めらている「動物家族」。怪談さながらのおぞましさに身震いするも、余りの真実に茫然自失するお話し。皆さまも是非、夏の夜長、怪笑をむさぼって下さい。

その時までサヨナラ 山田悠介 文芸社文庫 8/15/18

August 15, 2018

再び、旅の飛行機で読んだ本。その目的にピッタリだったと思う。複雑じゃないミステリーと愛の物語の融合作。ホラーに怯える事もなく、筋が複雑でないから、真剣に向き合わなくても、読み進める事が出来た。子供がカギを握るので、そこもほわーんとして、旅に丁度良い。そういう訳で、この本、私の旅のお供に最適の、伴侶でした!

告白 湊かなえ  双葉社 7/16/18

July 16, 2018

ああーー。誰でも愛されたいん、ですね。まさに、それを書いた本。娘を事故(いや、事件)で失った母親の辿る、巡礼の道。そして、その道の行く先々で、告白が始まる。「私には、こういう言い訳があって、こんな事しちゃいました!」なんていう。告白は、美しくない。うんと、醜い。そして、巡礼の最後に、恐ろしい復讐が待っている。「イヤミス」という新語まで生み出した湊さんの小説。私の読後感は、逆にすっきり爽やか。最後の復讐の場面が、簡潔でとっても良いと思う。是非読んでみて!