Book Reviews  マイブック評

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容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋  6/29/19

June 29, 2019

こちらも、2度目に読む本です。後半のクライマックスでは、涙なしには読めないページが続きますよ。本が始まった段階では、全く想像も出来ない展開となり、登場人物達が、葛藤、苦しみを経て、成長し、深い愛の世界に到達する。題名に全てが込められている、と言っても過言ではないと思う。東野圭吾の代表作の一つですが、もしまだ読んでいなければ、是非読んで下さい。

名探偵の呪縛 東野圭吾 講談社文庫 6/29/19

June 29, 2019

この本読むの、2度目です。「本格推理」という概念がない街に、タイムスリップする私、探偵天下一。実際の世では、推理作家として活躍するが、この過去のない不思議な街では、探偵として求められる。童話の中に、真実が’隠されているように、この不思議な街の暮らしの中から、現実の世界の問題点の解決策が見つけられるよう。。この作品の後、東野さんは、名作群「手紙」「赤い指」「容疑者Xの献身」など、意欲的に発表する。純文学推理とでも言うべき、感動の小説ばかりだ。常に進化し、自分に挑戦し続ける東野圭吾。新しい本を手に取る時、いつもワクワクさせてくれる。私ごとで大変恐縮なのだが、この夏再びガーシュインのラプソディ・イン・ブルーを演奏する機会に恵まれ、一念発起し、新しい楽譜を買い、フレッシュな気持ちで練習を始めた。多分50回くらい演奏して来ていると思う。今までとは違ったフレーズを入れたり、指使いを変えたり、音の強弱もニュアンスも全く違う嗜好で弾いてみると、何だかとっても新鮮で、楽しい。こちらも、ワクワクさせてくれる。

Clara Schumann: The Artist and the Woman revised edition by Nancy B. Reich 6/8/19

June 9, 2019

This book was first published in 1985, when the woman’s studies were not common, and Ms.Reich became an advocate of the woman’s studies throughout her life. This biography depicts Clara Schumann’s life in many aspects, as a child prodigy, composer, pianist, artist, teacher, wife, mother of 8 children, business woman, music promoter, social figure, and etc. It is an entertaining book as much as a well-researched biography so that anyone can enjoy reading it.

Clara Schumann was an important force in the music world in the 19th century. I personally enjoyed reading numerous letters she exchanged with Robert Schumann, her children and her friends in this book. It is very interesting that she is deeply romantic and soulful in the letters she wrote to Robert Schumann and Johannes Brahms, but when she wrote to her children she was no longer soulful. She was often away from home for her concert tours, and she tried her best to maintain her busy family life. So she often sent letters to home, but she was rather practical and business-like with her children. (I understand it was common in her class status in 19th century in Germany that children were often raised by nannies and they were sent to boarding schools away from their families.) She established and maintained an extraordinary performing career while supporting and supervising a household and seven children. Her concert fees were the main resources in Schumann’s household. She was pregnant most of time, 8 pregnancy in 16 years of marriage life, including Robert’s confinement in a mental asylum for 2 years, but she kept working all the time. When Robert was ill and dying she kept working. Her own children, Julie and Felix, were dying she was working. She was constantly facing with tragedies, but she preferred working to get over her continuous difficulties. 

Of course she had so many triumphant too! She was an influential figure in the music world. She was inspirational. She was an extraordinary performer and artist. She was like Rostropovich in the 19th century. So many composers have dedicated their works to Mr. Rostropovich, and so as Clara. Brahms have dedicated many of his works. Robert Schumann wrote most of his piano music thinking of her. She collaborated with Mendelssohn and Joachim. Liszt and Chopin praised her pianism. I wish I could hear her playing…

 

 

風花  川上弘美  集英社  5/5/19

May 5, 2019

離婚応援歌、とも言うべき本。本の帯には、「愛はいかにして色あせていくのか」となっているけれど、「愛」というより、自己発見と自己成長記だと思う。だって、本当は、「愛」なんて、最初からなかったのだから。「愛」だと思い込んでいた何かと戦い、自分が良く分かっていなかった33歳の女性が、独り立ちする、奮闘記である。でも、私はこの話、結構好き!正直なところかなあ。ちょっと最後がカッコ良すぎる感があるけれど、も。

サウスポイント よしもとばなな 中央公論社 4/19/19

April 19, 2019

家族について、愛について、そう、永遠のテーマ。この本の中の一文「家族は家族であるだけでもうすでに問題点いっぱいだという事だったけれど。」。言い得て妙。そして句読点が一切ないところが、又とても良い。かなり変形な家族と、相反するようでいて実は全くそうでない、愛の濃さ。不思議さと普遍が混じり合い、独特の世界に連れて行ってくれる。心を自由に解き放ち、真実を見つめるのは、楽じゃあない。けれど、心が満たされる。

イルカ よしもとばなな 文藝春秋 4/10/19

April 10, 2019

久しぶりの、ばなな本。彼女の本の魅力って、何だろうって、考える事ありません?世界各国で翻訳され、読まれている。国境を越えて、確実に共感出来るコンセプトがある。何だろう・・・って。圧倒的に女性の読者が多いとは思うのですが、女性の五感に語りかけるものがある。もう、本能と言っても良いような、ベースのところで。「語り部」調のリズムで、こちらの心にどんどん入って来る。心を捕らえられてしまう。はっきりと告白しますが、この「イルカ」も、何だか知らないうちにのめり込み、あっという間に読んでしまいました。説明不要ですね。

八月の路上に捨てる 伊藤たかみ   文藝春秋 4/8/19

April 8, 2019

第135回 芥川賞受賞作。ネット生活が始まって、ほぼ20年。全てが、短いスパンで起こり、消えて行く。日本語も随分と変化した。表現方法も、コミュニケーションの仕方も変わった。そして、一番大事な自己表現というものも変わり、もちろん愛の表現も変わって来た。そういう多々ある日常の変化と、日本人の心の根底にある揺るぎないものとの共存。その接点にあるのが、この小説かなあ、と思う。なかなか、素敵だ。細切れにした日常を、とても丁寧に表現し、臨場感溢れるストーリーに。短いので、すぐ読めますよ!

君は永遠にそいつらより若い 津村記久子  筑摩書房 4/1/19

April 2, 2019

ななんと!凄い感性。洒落た表現の対極にあるような、心の奥から絞り出すよう感じ。それでいて、軽やかなジョーク混じり。そして、残酷なんだけど、それが優しさ故だったりする。でも、やはり最後は「愛」なのだ。カッコなんて、つけている暇はない!テンポの良い文章に乗って、私こと中年読者も、大学時代に返って、学食を浮遊した模様。すっかり、本に入れ込んでしまいました。これが津村さんのデビュー作で、かつ太宰治賞受賞作。いやはや、余りのスゴさに、強烈なパンチを食らいました!

三月は深き紅の淵を  恩田陸   講談社文庫 3/30/19

March 30, 2019

非常に趣向の凝った、お洒落な作品ですが、私の脳味噌では、計り知れぬ事が多過ぎて、厄介であった事も事実です。幻の本探しというテーマなのだが、4章からなるそれぞれのお話が、私の中で絡んで来ず、終始本に没頭出来ず。。。幻を彷徨いました!

これからお祈りにいきます  津村記久子  角川文庫  3/17/19

March 17, 2019

大切な誰かのために心を込め祈る。その願いを叶えるため、自分の取られたくない体の一部をいろいろな方法で工作し、神様に捧げる風習。「サイガサマ」の祭りで、それが奉納される。そして時に、その奉納した工作で作った体の一部が、実際の体から、ひょこっと消えてしまう。そのため、雑賀(サイガ)町には、体の一部を失った人が時折いるという訳だ。密かに愛する人のために祈る。見返りを望まないどころか、自分の体の一部まで捧げてしまう。そして、その失った不自由な体を、淡々と受け入れる。人生の根幹に迫るようなテーマであるのだが、そこを「お隣り近所的」な物語と、親近感のある文体が、こちらの心にスーッと入ってくる。なかなか、素敵なお話しだと思いますよ!