Book Reviews  マイブック評

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無銭優雅  山田詠美  幻冬舎  9/4/15

September 4, 2015

これぞ、まさに正統派作家。文章がとにかく美しい。流れるような文体に、そこかしこに、キラキラ光る宝石が埋まっている。お話そのものも最高だけど、表現の、そして言葉の使い方にひたすら感動、感動。とってつけた、わざとらしい表現が一つもなく、読んでいると、川の流れに身を任せるような感じで、すーっと、言葉が入ってくる。そこに、水を通して見えるプリズムみたいに、きれいな言葉がさらっと、近くを流れていく。こういう文章にいつも浸っていたいと、つくづく思うのです。

Kiss 接吻 小池真理子  新潮社 8/15/15

August 15, 2015

美しい短編集。素敵な宝石箱に詰まった、ジュエリーとでも言えるかな。一人称だったり、二人称だったり、はたまた3人称だったり。光の当て方は様々だけど、それぞれの短編はキラキラしている。短編同志は全く繋がっていないのだけど、一冊読み終わると、なんだか長編を読んだような不思議な気分になる。小池真理子さんの才能で、全編が美しい愛であふれている。

東京タワー  江國香織 マガジンハウス 8/11/15

August 11, 2015

とても散文的。詩的小説っていうのかな。非現実的なんだけど、それが何だっていうかんじ。素敵な文章だと思った。青年(すごく古い表現!)のやるせなさとか、本音とか、自分ではコントロール出来ないエネルギーが、文章の合間に溢れている。お洒落な設定だけど、それだけに走らないところがとっても良い。

風の部屋 藤堂志津子  角川書店 8/5/15

August 7, 2015

この本も、直接ではないものの、DVが話の本筋になっている。アラフォーの不思議な年下の男性との恋物語。何が、真実なのか分からない。嘘のつきっこなのか。それとも、日本人特有の照れが災いしての、湾曲表現なのか。年下の男性に、ひょんな事から惹かれていく来実子。こんな事現実には起こりえないけれど、こんな出会いがあったら、人生のスパイスになるかなあ。

無花果の森  小池真理子  日本経済新聞出版社 8/5/15

August 7, 2015

美しい話だと思う。最近読む本に、頻繁にDVの話が出てくるけれど、これは、今まで余り語られなかった家庭内暴力が、陽の目を見たという事なのかなあ。DVの連鎖についても語られているし。夫から逃げて来た妻と、警察から罪を着せられ逃げている男の、静かな、それでいて、とても強い恋愛小説だ。ちょっと湿った、でも、美しい世界は、小池真理子の骨頂だと思う。恋愛するカップルを取り巻く人々も、とても良い具合に設置されている。新聞小説だったので、きっと読者はワクワクしながら、毎日の夕刊を楽しみにしていたのでは。。

もしもし下北沢 よしもとばなな 毎日新聞社

July 30, 2015

下北沢。。。。とてもノスタルジック。中学、高校と小田急線で下北沢を必ず通っていたので、他人事とは思えない響きがある。駅前から、ごちゃごちゃしているんだけど、とっても活気があって、楽しくなる街。飲み屋さんも沢山行ったし(これは少し大きくなってから。。!)、友人たちとも大騒ぎをした街だ。若くて、夜じゅう騒いでいても、翌日なんとか持ち直して、活動出来た、まさに私の「若さ」の時代。それが、下北沢とつながるので、この本は、ほおっておけなかった!時代は変わり、お店も街の風景も違っていると思うけど、この本を読む限り、本質は変わっていないみたい。嬉しいですね!お父さんが、愛人と心中するというのが、お話しの中心で、下北沢の優しさ、心地良さ、懐の深さが、それを大きく取り込んでいく。装丁もとても素敵!是非、手に取ってみて下さい。

ジュージュー よしもとばなな 文芸春秋 7/19/15

July 19, 2015

これも、「ばなな」絶頂の本。こんなに、日常のさりげなさを、美しく愛おしく出来るんなんて。。。素敵な本です。現実にはきっと有り得ないような、優しい関係を、きちんと書いて、きちんと読者に提示して。最高!小柄な本が、「ばなな」本にぴったり。登場人物たちが、めちゃ優しいけど、きちんと自己主張して、自分の芯はずれない。まさに、「カッコ良い」。心から惚れてしまいました。

High and dry (はつ恋)よしものばなな 文芸春秋 7/17/15

July 19, 2015

いっとき、「よしものばなな」離れをしていたので、久しぶりのばなな本!まず、コミック調の装丁が、とってもとんちんかん??本の美しい文章と、全く合ってない、と私はひどく怒っているんです。話の展開といい、キラキラした文体といい、完結でさっぱりした気性といい、すべてに私好み。それなのに、このふざけた(ふざけているとしか、言いようがない)て、幼稚な挿絵はなんなのだ。読んでいて、ちっとも空想をかきたてないし、悲しくなる。。。でも、文章は最高。ばななワールドに、すっかり取り込まれてしまった。

愛のレンタル  田辺聖子  文芸春秋 7/10/15

July 10, 2015

田辺聖子さんの大阪弁、最高~!全くの江戸っ子の私(江戸っ子の定義は、3代以上東京都内に住んでいる事らしい。と、これは、アメリカ大使館にお勤めの、アメリカ人に聞いたんだけどね。)には、この威勢の良い浪速言葉、それはそれは、とても素敵なのだ。東京の、早口で、しらっけたしゃべりとは、本当に違う。いつもながら、田辺ワールドに、しばし惹きこまれた私でした。大阪弁のニュアンスで、短編が進んでいくのも、とっても面白い!いろいろな男女が、魅力いっぱい、紙面いっぱいに、飛び回る。大阪の美味しそうな食事が沢山出てくる。もう、最高!元気、って、本当に良いことです。

ソング・オブ・サンデー  藤堂志津子  文芸春秋 7/10/15

July 10, 2015

今でいう(私の日本語は、ほとんど20年前に成長を止めているのでー日本を出たときにー古臭いのです。今でも、時々JRの事を国鉄と言うくらいだから!)アラフォーのカッコ良さかなあ。自然でいて、とっても背筋がのびてて、周りに流されない生き方。藤堂さんって、そういうのを書くと、とても上手いと思う。何でもない日曜日のドライブが、人生を反映する、重大な時になっていく。本当に何でもない、どこにでもいるような男女が、ある日曜日を通過して、キラキラして素敵なカップルなんだぞ、っていう事になる。其れは、いわゆる、誰にでも、キラキラの可能性があるってこと。読んでみたいと思わない、この本??