Book Reviews  マイブック評

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二重生活 小池真理子 角川書店 3/23/15

March 23, 2015

まさにタイトル通りの、お話。不倫も出てくるし、若さの悩みも出てくるし、尽きるところ、人間のまあ本質で、「裏表」があるって事かなあ。そして、心の中は秘密で、恋人とも付き合い、親子とも生活を共にする。「文学的・哲学的尾行」が、本の大テーマ。これって、ちょっとカッコ良いよねえ。。。だけど、のぞき見趣味とどう違うのかなあ。言葉の綾??お話自体はとても素敵なのだけど、二重生活という本のタイトルと、文学的・哲学的尾行との間に、深い溝がある気がしてしょうがない。

理由 宮部みゆき 朝日新聞社 3/4/15

March 4, 2015

新聞連載を、加筆して刊行された、超大作。いろいろな時事問題が織り込まれ、思わず惹きこまれてしまう。もちろん、宮部さんの類まれな才能、洞察力、深い勉強に支えられている事は、言うまでもない。裁判所の競売に絡まる問題がメインになっているのだが、現在に生きる一筋縄ではいかない家族性、男女関係など、ミステリーを基本にしながら、深く切り込んでいる。私自身も、昨年家を購入したので、この辺のことは多少勉強し(もちろん日米の違いはあるが)、問題点など大いに共感した。子供の切なる声から、高齢の方々の老後の過ごし方まで、言ってみれば、すべての人に関わる問題が、一冊にまとまっていると言っても、過言ではないと思う。必読の長編一冊である。

正妻 慶喜と美賀子 上・下 林真理子 講談社 2/19/15

February 19, 2015

新聞連載小説に加筆修正された、長編小説。はっきり言ってとてもおもしろかった。江戸時代最後の将軍になった徳川慶喜に嫁いだ公家の姫、美賀子。徳川幕府が崩壊し、明治維新が始まった時代の今まであまり触れられることのなかった歴史に焦点を当てた小説。女性の視点から書かれ、世俗から離れた公家の姫が、「普通」の人になっていく姿を描く。もちろん、どんなことも、焦点の持っていきかたによって、話の展開は大きく変わる訳で(離婚協議が良い例!)、これが、男目線で、慶喜から見た美賀子を描いたら、また、それも面白いかも。明治維新の歴史について、新しいことを学んだ気がする。

東京アクアリウム  小池真理子  中央公論新社 2/15/15

February 15, 2015

これは、とても美しい短編集。東京の片隅で繰り広げられる愛の物語。それぞれにどこにでもいそうな主人公が出てきて、どこにでもいそうな誰かに関わる。心の襞に触れる、魂と魂の語らい、そして、別れ。読んでいると、時に自然に涙がこぼれてしまう。特別な気持ちに沈んでいく、小池真理子の恋愛ジャーニ―集。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年  村上春樹  文芸春秋社  1/28/15

January 28, 2015

これは、大層美しい小説だ。今回本当に思ったけれど、村上春樹の小説って、とても視覚的なんですね。何だか、映画を見ているような感じ。題名からしても、もちろんビジュアル的なんだけど、それにしても、カーテンがふんわか揺れる様子や、プールの中の水のゆらめきまで、目の前で起こってしまう。多崎つくるの日常、彼を取り巻くカラフルな人間模様、悲しみ、喜び、過去、現在、未来、不思議な空間を行ったり来たり。どっぷり村上ワールドに浸ってしまった。

PRIDE 池袋ウエストゲートパーク 石田衣良 1/17/15

January 18, 2015

真島誠のカッコ良いシリーズも、どんどん続いている。何といっても設定が抜群だ。池袋という東京の中でも、ちょっと曲者の町を選び、そこに活躍(暗躍?)する少年団の話。今回の章も、言ってみれば誠ちゃんをいかにカッコ良く見せるか、に集中している言っても過言ではない。ストーリー展開が、スピード感にあふれ、読者にとってはもうたまらない!

聖女救済 東野圭吾 文芸春秋 1/17/15

January 18, 2015

この本も2度目。どういう風にストーリーが展開するのか分かってても、面白い!題名の「聖女」という言葉に、作者の思いが出ているのでは?そして、何故「救済」なのか。。不思議な題名だ。現実にありえない状況を、人間観察から解いていく。とことん人間を見つめる。売れっ子の東野さん。凄い本を次から次に出していく。読者もうかうかしていられない!

楽園 上・下 宮部みゆき 文芸春秋 1/17/15

January 18, 2015

この本を読むのは、2度目。それでも、思いっきりのめりこんでしまった。サイコメトラーという現実的でないテーマだけど、内容はとんでもなく人間的。そしてとても素敵な話だ。「愛」に溢れているとも言える。宮部さんの素晴らしいストーリー・テラーとしての才能が、存分に味わえる本。長編だが、一気に読んでしまう!

 

灰色のピーターパン・池袋ゲートパークVI 石田衣良  文芸春秋 1/4/15

January 4, 2015

久しぶりの池袋ゲートパーク・シリーズ。まこっちゃん、いつも本当にカッコ良い!池袋の街を、背の高い、ちょっと痩せ型の真島誠が歩いているのが、目に見えるよう。平成のスーパーマン。次々に降りかかる(というか、呼び込む)トラブルを、いつもスリル満点にスマートに解決。老若男女にもてるまこっちゃん。良いですね。石田さんの池袋という土地の選び方が良い。現実的な設定なので、問題とその解決が夢物語になっても、何だかすぐお隣の話のように感じてしまう。文章のスピード感も絶妙。もしこの池袋シリーズ一冊も読んでいなかったら、是非一度手に取って見て下さい。

悪意 東野圭吾  講談社  1/4/15

January 4, 2015

流石、東野圭吾!どんな新作も読者を決して失望させない。裏の裏の裏。。。本の中の本。考えてみれば、とてつもなく複雑な内容なのに、そんな事は微塵も読者に感じさせない。思いっきりストーリーに惹き込まれてください。読み始めたら、本当に止まらない!嫉妬心というのは、人間の持つ悲しい心だ。そして、それは、人をとんでもない方向に導いてしまう。それは、「悪意」となって。