Book Reviews  マイブック評

View book reviews from 2008 – 2012.

結婚詐欺師  乃南アサ   幻冬舎

July 27, 2013

日本にいる間に買った本の一冊。次々にだまされる女性達、そしてだます喜びを追いかける男。だましているのではなく、女性の人生をコーディネイトとしている、とまでうそぶく男に一切の反省はない。女性達の中には、騙された自分が許せなくて自殺するものが出る。老後の全財産を失う女性もいる。それでも、悪気なく、次のカモを探して、自分の贅沢に使うお金を巻き上げる。こんなに簡単に騙されるのか・・・・でも、何と言おうと「結婚」という名目は、多くの女性にとって、キラキラ輝き、「一度はしたいもの」なのだ。その心理を知っての、詐欺である。どうぞどうぞ全女性の皆さん、特に婚活に燃えている方々、もしくは、孤独が忍び寄っていると感じている方々、男性の上辺の「甘さ」にころっといかないように。

The World of Music According to Starker

July 20, 2013

 Janos Starker                 Indiana University Press    
I read this book on the way to Japan, and during my traveling in Japan. It is really a fun book. As you know Starker was one of the very very best cellists of our time. He passed away several months ago. I love his recordings. I never heard his live performance, but I once heard him playing live on the radio, maybe 12 years ago… It was one of “Fingers from Hell” Popper pieces, and was really perfect! Also I recently heard him playing with his young student on “From The Top” radio show, and it was very nice to hear nice duet. His memoir spans from his youth years in Hungary to the current time in US. He has so many stories to tell, and it is just fun to read them! He has so many amazing musician friends personally and professionally. He is no longer living on the earth, but he left so many great recordings for us to listen.

幸福な朝食  乃南アサ  新潮社

July 13, 2013

これは、ホラーなのか。それとも、サスペンスなのか。どちらにしても、乃南さんの、大初期時代の作品だ。だから、「アラサー」なんて言葉が世の中
を横行する随分前の話。アラサーの美しい独身女性の悲しいお話だ。そして、その女性が、狂気の道を滑り落ちていく。

港町食堂  奥田英郎  新潮社

July 3, 2013

港の風景が、とっても生き生きしていて、べらんめー調の語り草が最高だ。日本のいろいろな港へ、船を使っていくというのが基本で、そこからエッセイーが生まれてくる訳だ。つまり、船に乗る行為に、切羽詰った理由はない。ただし、乗ってしまう。奥田さんの、ほわーーーんとした感じがとても良い。奥田さん、決っして無理をしない。でも、観察眼するどし。知らないうちに、港町旅情に引きずりこまれる、私でした。

ソロモンの偽証 第1、2、3部 宮部みゆき  新潮社

June 30, 2013

うわさの「ソロモン」、大長編である。1部が約700ページ強あるのだ!旅がいろいろあったので、飛行機の中で結構読めるなあと、思っていたのに、それでも、読破するのに、一ヶ月近くかかってしまった。中学生が、ある事件をきっかけに、立ち上がり、その同級生の謎の死に、まっこうから向き合う。そして、裁判という形で、真実を明らかにしていく。このような大長編で、しかもミステリーの要素もあるお話は、構成に一体どれくらいの時間を費やすのだろうか。そして構図を作り、そこから物語が出発する訳だが、ストーリーが展開するにつれ、きっと登場人物達が紙面からはみ出してしまう事も、作家の気持ちが、書き進むにつれ構成時からずれていく場合、など、これだけ長い時間を費やせば何かしらあると思う。その辺をどのように、収拾しながら、書き進めるのかな??
すごい心理戦で、ストーリーも大変面白いのだが、一点文句をつけさせて頂くなら、中学生にいくら頭が良いとはいえ、これだけの実行力、判断力、バイタリテイーがあるだろうか??まあ、とにかくすごい本です!ご期待あれ!

未練  乃南アサ   新潮社

May 29, 2013

音道貴子シリーズの一冊。これも短編集で、全部でこちらは、6編。もちろん、音道さんの出てくる小説だから、サスペンスで所謂推理小説なのだが。不思議に普通の短編も出来て、それが何だか、とても新鮮。え、これって推理小説じゃないの??、という感じになるのだけど、それが又面白い。音道の活躍は今までにも沢山拝見しているけれど、今回は違った顔を見せてくれる。音道貴子のファンなら是非読んでください。

幸せになりたい 乃南アサ  詳伝社

May 20, 2013

まさに、「幸せになりたい」と切望する女性達の短編集。そこは天才の乃南さん。単純な幸せではない。恨みがあり、仕返しがあり、裏切りがあり、見込み違いがあり、恐れがあり、それも深い深いところで、その怨念が渦巻く。人間とは、何と大変な生き物か。全部で、7編のお話が入っているが、そのどれとして、似た手法がなく、短いながらも、山あり谷ありで、面白い。こんな心情になるのは自分にも良く分かる、と、読みながら思う方が沢山いらしゃるような気がするのだが。。。

真夏の方程式   東野圭吾  文芸春秋

May 15, 2013

久しぶりの東野さんの小説。優しさに溢れた、サスペンス小説。もちろん殺人事件が起こるのだけど(一つだけでなく、ね!)、その謎解きだけでなく、東野さんの大骨頂の、心理性を読み解いていく方式。現在の事件を解いていくに従って、昔の事件に行き着く。家族の愛情がずんずんと身にしみるお話。

今夜もベルが鳴る 乃南アサ  詳伝社文庫

May 8, 2013

これも精神に支障を持った殺人者のお話。「変身妄想」という病名が本当にあるのかどうかは分かりませんが、「ある特定の人物に憧れ、彼・彼女を模倣したい、あの人のようになりたい」、という願望から始まり、自分が誰だか分からなくなる、精神障害。この「変身願望」と「恋愛願望」を同時に描く(もちろん違う登場人物だけど)、恋愛サスペンスとでも言うのでしょうか。主人公のゆかりの行動については、若干疑問がもてないこともないけれど(何でわざわざ自分を危ない場面に放り込むのか。普通だったら、こんなことは絶対しないとか。)、電話線(古いコンセプトだねーー)を通じての恐怖が、本の全編に渦巻く。現在のネット社会の恐怖に比べれば、もしかしたら、救いようのある、恐怖かも、ね。などと、思う、携帯べったりの私です。

紫蘭の花嫁   乃南アサ   光文社文庫

May 6, 2013

「どんでん返しに続く、どんでん返し。恐怖の連続殺人事件の中に潜む、深い謎。あなたは、今夜眠れますか。」とでも、宣伝文句にしたい小説だ。ネット交際の以前にあった、テレクラ(っていう名前でしたっけ??)が出てきて、普通の顔して生活している「一般市民」が、その仮面の下に病的願望を潜ませていたり、「エリート警察官」の病んだ精神がもたらす恐怖だったり、まあ怖いお話であること間違いなし。男性の歪んだ性的願望が、リアルに描かれていたりして、乃南さん、本当にいろいろな顔を持っていらっしゃる。どこどこ、読み進んでしまう本ですよ。