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告白 湊かなえ  双葉社 7/16/18

July 16, 2018

ああーー。誰でも愛されたいん、ですね。まさに、それを書いた本。娘を事故(いや、事件)で失った母親の辿る、巡礼の道。そして、その道の行く先々で、告白が始まる。「私には、こういう言い訳があって、こんな事しちゃいました!」なんていう。告白は、美しくない。うんと、醜い。そして、巡礼の最後に、恐ろしい復讐が待っている。「イヤミス」という新語まで生み出した湊さんの小説。私の読後感は、逆にすっきり爽やか。最後の復讐の場面が、簡潔でとっても良いと思う。是非読んでみて!

楽園 上・下 宮部みゆき 文芸春秋 7/10/18

July 10, 2018

以前にも読んだ本だけど、もう一度読み返す。一年間に渡っての新聞連載小説。きっと読者は、ワクワクして読んだ事と思う。だって、次から次へと新しい道が開けて、先が見えない洞窟探検のようだから。入口では予想も出来なかった展開。そしてそこから、枝分かれして、更に新しい冒険が広がる。旅に持って行って、飛行機の中で、ホテルで、と読み進めた。気持の優しい人達と、化け物達。その間に立つのが、サイコメトラーの”等”という子供。もちろん小説というのは、仮定のお話しなのだから、何の根拠がなくても良いし、何をキーポイントに持ってきても構わない。だけど、私にとって、”サイコメトラー”が、すべてのキーを握る小説というのは(SFなら断然OKなのだけど)、何故か、洞窟冒険だと思っていたのが、実はデイズニーランドの乗り物だった、みたいな、拍子抜け感がある。だって、サイコメトラーが人の心象を読むとすれば、すべての事が可能になってしまうから。でも、ストリーの展開としては、最高だし、ワクワクして読んだ事は。本当ですよ!そして、力作です。

NHKドラマ 「弟の夫」7/4/18

July 4, 2018

久しぶりの感動ドラマ!3回に亘って凝縮された日常のドラマが、家族の在り方について、鋭くも温かく、描かれていました。設定は、はっきり言ってフェアリー・テール(お伽噺)だけど、内容がとっても良かったです。だって、天真爛漫で、人を疑う事のない可愛い女の子と(両親の激しい言い争いの末の離婚を経験している)、無職だけど家賃収入だけで悠々と暮らしているお父さん(IT企業の戦士脱落組)、離婚した理由はお母さんの浮気、だけど元夫婦は健全な関係を保っているし、と、フェアリー・テールの理由を挙げたらキリがないのだけど、そんなことはどうだって良いのです!「家族」って何だろう・・というのが、とても伝わって来て、3回目では、大泣きしてしまった私です。そして何と言っても、元力士の把瑠都(相撲大ファンの私としては、特に思い入れてしまった!)が、素晴らしい演技をしていますね。もちろん演技の勉強をしたのだろうけど、多分元々から才能があったのでしょうね。とっても自然で、てらいがないんです。

ゲイの結婚というのが題材で、ついに日本でも取り上げられる時代になったんだなあと、正直思いました。私のとても仲良くしている友人の2組が同性婚で、周りにも、結婚はしていなくても、カップルとして、長年連れ添っている人も沢山いるので、改めて、考えることもない日常ですが、LGBQTのEqual Right については、アメリカでも常に問題提起されています。しかしこのドラマは、子供の視点から捉える事で、「問題提起」という社会現象ではなく、ヒューマニテイーとして、また、人間愛として描き切っています。そこが、感動の原点だと思います。もし、まだ見ていなかったら、NHKのオンデマンドで可能かもしれないので、是非チェックして下さいね。大感動間違いなしです。

武道館 朝井リヨウ 文芸春秋 6/25/18

June 25, 2018

先日、朝井さんの御本のところで、丁重に謝った私。この本で、更に一段深く、朝井さんの御本に’惹き込まれました。進化を続ける朝井リヨウ!すごい!「武道館」は、アイドルのお話。しかし、この日本語のアイドルという言葉も、かなり元の言語から変化し、原型を留めていないのでは・・多分英語のIdleから派生したのだろうけど、元の意味の「だらしない」とか「仕事をしない」とかいう意味から、どういう経緯で現在の「アイドル」という使われ方になったのか。日本語って、面白いですね。閑話休題!この本、アイドルの姿とネットの脅威とを重ね合わせ、人間の本質に鋭く切り込んでいます。114ページに「欲しいCDがある。聴きたい曲がある。観たい動画がある。知りたい情報がある。その欲をかなえるために、まず無料でできる方法を選択するようになったのは、いつからだろう。」まさに言い得て妙。その通りです。

ファックスが普及する前に青春を送った私としては、我々の青春時代を、現在の青春世代は全く想像出来ないんだろうなあ、と思います。高校時代に、ポリー二(高名なピアニスト)のショパンの練習曲のレコードを、それこそすりきれるまで、聞き込んだし、他校の男子学生との連絡は、難航を極めたものです!日本の両親の家に残してきたレコードすべて処分された時には、かなりがっかり来たものだけど、今や多分そのレコードすべてが、YouTubeで無料で聞けるはず。各家にある電話だけが、連絡の手段で、駅で待ち合わせる時の急な連絡には、伝言板(ネットのではありませんよ)にチョークで書いたものです。でも、どんなに生活が変化しても、日本人の体形が欧米型に変化しても(!)、心のありようまでは、変化出来ない。ネットなしでは機能しない暮らしと、複雑化しすぎた生活様式。難しいけれど(特に若い時は)、どういう状況に置かれても自分自身を失わずにいきたいものです。だって、どういう選択をしたにせよ、最後は誰も責任取ってくれないし、自分でかぶるしかないんですから、ね。長くなりましたが、「武道館」是非読んでみて下さい。

まにまに 西加奈子 KADOKAWA 6/25/18

June 25, 2018

貴方、今退屈ですか。それとも、仕事に追われ、へーこらしてますか。静かな夜を一人で楽しんでいらっしゃる?どちらにしても、このエッセイ本お薦めです。何と楽しいこと!ユーモアに富み、鋭い指摘と文化的示唆に溢れ、虜になる事間違いなし!私はある日、一人昼食を楽しむながら、この「まにまに」を読み、愉快な時間を過ごしていました。36ページの「浪速のマロングラッセ」のところで、余りの可笑しさに吹き出してしまい(この段階で食後のコーヒーを飲んでいた)、シャツにシミが・・・そして、別の日、156ページの「おかぼちゃさん」で、又吹き出してしまったのです。ですので、この本と同時に飲むには、透明な「水」が必須ですね。あはは!是非手に取ってみてね。

プラナリア 山本文緒 文芸春秋 6/14/18

June 14, 2018

この本も前回に続き、「開拓」した作家のものです。5つの短編が収録されています。現実感たっぷりの、時には「こんな事、見たくないよー!」と叫びたくなるくらいの、現実を突きつけられますよ。そりゃ、人生「ハリウッド映画」のようにゃあ、いかないけれど、私の希望としては、本の中では、夢を見たいし、美しいものに触れたい。だから、はっきり言って、読み進めるのは、しんどかったですよ。ようやく、どん底から5作目の「あいあるあした」で這い上がれました。作者に感謝申し上げます。でなけりゃ、どん底のままでしたからね。

垣根涼介 午前三時のルースター 文芸春秋 6/14/18

June 14, 2018

どうしても「お気に入り」の作家の本を手に取ってしまうので、新しく開拓。この本を読むまでこの作家の名前も知らず、ワクワク感で本のページを開きました。日本版「インデイアナ・ジョーンズ」というのが、私の一番の印象。ベトナムを中心にしたアクション・ミステリーですね。登場人物が、本当にインデイアナ・ジョーンズみたいなので、ちょと映画っぽいし、ミステリアスな美女も登場。役者は揃った!というところでしょうか。ストーリーも面白かったです。

白夜行 東野圭吾 6/4/18

June 4, 2018

ずっと前に読んだ本だけど、もう一度読みたくて手に取り、感激!そうだったか!こういう結末だったんだなあ、と改めて壮大なドラマに胸躍らせました。大長編ですから、読破するのに時間もかかる。だけど、やめられない!という訳で、数日どっぷりと、白夜行の世界に浸りました。途中から、もちろんカラクリは見えるのだけど、その奥に潜む人間模様が複雑で、とても先が見えない。何でこんなに糸を絡めるのか、多分本の意図は一つなのに、何で??というくらい、これでもか、これでもか、と次々に複雑化するドラマ。それが、最後の数ページに向かってテンションを高めて、そこで炸裂!もしまだ読んだことがなければ、読破してみて下さい。究極の「愛」の物語です。

世にも奇妙な君物語 朝井リヨウ 講談社  5/23/18

May 23, 2018

前回の「少女は卒業しない」で。朝井さんへの批判を全面撤回した私が、もうこの本では平身低頭、土下座しています。すごい本を書かれましたね!四谷怪談現代版、とも言うのでしょうか、おどろおどろしい人間の本性を書いていらっしゃる!それも、ちょっとしたミステリータッチで。5編の短編から成り、こちらはそれぞれに全く連続しておらず(「少女は卒業しない」の短編集は、連続してもいたので)、完全に独立、独歩。一編、一編に、背筋が寒くなるような「おち」がついていて、次が騙されないぞ!と臨んでも、又どんでん返しに合うんです。読まれる時は自分に挑戦のつもりで、どんでん返しの先読みを、お薦めします。これからの、朝井リヨウ、どう進化していくのか、本当に楽しみです。

少女は卒業しない  朝井リヨウ 集英社 5/23/18

May 23, 2018

南米に公演旅行があり、その旅で読み、とても感動した本。以前確か、朝井さんのことを未熟者のように書いたけれど、全面撤回します。この本は、高校生の卒業前後の物語で、とても繊細。7つの短編は、それぞれが完結しているものの、連続した小説にもなるという趣向。特に好きなのが、4編目の「寺田の足の甲はキャベツ」というお話。この題からして、興味惹かれますよ、ね!本の中の高校生達の言葉使いは、そりゃ、もうビビッド。高校のそばのコンビニに午後いたら、こんな乱雑な会話が聞こえてきそう!それくらい、元気な高校生達が、本のページに凝縮されているんです。寺田の足に話を戻すと、これはきゅんきゅんの恋ものがたり。乱暴な言い回しが、実に愛に溢れ、じーんと来るんですね。高校生のあなたも、または、ずっと前に高校生だった貴方にも、ぐぐっと来る、本です。是非、読んで下さい、ね。