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ロサンゼルス発:熟年スモジョ「どすこい日誌」 2020年9月23日

September 23, 2020

長年大相撲を熱烈に応援して来た私だが、今場所のような変速的な15日間もハッキリ言って珍しい。両横綱が初日から休場、場所が始まってからも怪我人続出の為、途中休場者が増え、相撲放送の時間が余りに余って、藤井アナの回では正岡子規の相撲俳句まで登場。また、朝乃山は2日続けて不戦勝を手に。これも、かなり珍しい事である。逆に言えば、解説の親方衆の丁寧な説明が聞けて面白いし、上記のような俳句に触れる機会も頂ける。どちらにしても、相撲好きの私に取って、場所中の15日間はもう楽しくてしょうがないのである。アメリカはまだ夏時間のため、ロサンゼルスの相撲中継は夜中の12時から2時まで。真夜中にテレビの前に座り、悦にいる日々である。今場所もすも友のT子女史と、遠隔観戦を一緒に楽しんでいる。お互いスマホ片手に、感想、ヤジ、ゴシップ、応援など、矢継ぎ早にテキストを応酬。これが大変楽しいのである。

怪我人の事に触れたが、これは稽古不足が要因に違いない。出稽古が出来ない状況下、同部屋の力士間でしかぶつかり稽古が出来ず、自ずと限界がある。又、筋肉を落とした力士も目立つように思う。その良い例が炎鵬で、小兵の上に体が萎んで、巨漢の力士と当たる時はハッキリ言って危険である。新入幕の翔猿は、正に新時代の力士。「力士は肌を見せるから・・」という見解の元、脱毛もしているらしい。彼の相撲っぷりは最高で、インタビューも臆するところなく、堂々としている。もう一人の新入幕の豊昇龍は、常に大横綱の叔父さんの名前が出て来て、少し気の毒な気もする。まあ、顔があれだけ似ていれば仕方ない気もするが・・。何と言っても注目は、我らの正代。彼の人柄の良さと自然体が、ファンを惹きつけて止まない。そこに持って来て今場所は、相撲の切れが抜群に良く、思い切りが違うと思う。熟年ファンとしては、息子を応援するような気持ちである。この調子に乗って、千秋楽まで一気に、と切に願っている。貴景勝は、又少し太ったような気がするのは、私だけであろうか。いつも息が上がっており、内臓系が心配だ。昨日は、取り組後に肩の痙攣で少し立てず、体のどこかが悲鳴を上げているようにも見えた。素晴らしい力士だけに、無理をせず、長い目で見て相撲を取って行って欲しい。朝乃山は3連敗の後、安定し大関相撲が取れている。千秋楽まで3敗を死守して欲しいものだ。照ノ富士は、怪我からの復帰を経て、人間が大きくなり、インタビューでの受け答えも大変素晴らしい。こちらも、3敗を死守して欲しい。元気な阿武咲が、これからの4日間大暴れする事は間違いないし、若隆景も頑張って2敗キープ。

変則的で戦国時代を呈する今場所だが、役者に不足はない。2敗力士が4人、3敗力士が3人。これからの4日間で、どれだけ自分を信じ、怪我をせず、集中していけるかであろう。ベテランの琴奨菊と松鳳山が元気がないのが、とても心配だ。長年土俵を湧かせて来た両力士。とにかく、無事に千秋楽まで相撲を取って頂きたい。最後になるが、個人的な喜びとしては、長年応援して来た千代の国が十両復帰ひと場所目で、9勝1敗で単独首位に立ち、宇良が幕下で全勝を重ねている事だ。両者ともに努力の賜物である。

9月場所も残り4日。こちらも全力で深夜の応援である。

昼田とハッコウ 上・下  山崎ナオコーラ   講談社文庫 9/19/20

September 19, 2020

山崎ナオコーラさん、いつも「何をやってくれるか」と、次作を読むのが本当に楽しみ。今回も、非常にユニークなシチュエーションです。「本屋さん」の話しらしいとなれば、本好きの我々は飛びつく。そこには、「アロワナ」という大魚が主の、町の本屋さんがある。「アロワナ書店」は、家族経営・・。と段々に、本の中に入っていく。昼田とハッコウは、血の繋がらない兄弟。大の仲良しだけど、全く正反対の性格である。昼田は、自分が真っ当な人間で、ハッコウが外れ者だと思って生きて来た。因みに、昼田、大卒、ハッコウ、高校中退。昼田、都心部の優良企業で働き、ハッコウ、「アロワナ書店」勤務。昼田、いつも綺麗な格好、ハッコウ、だらしない格好。

家族の関係が変化し、昼田は会社を辞め、「アロワナ書店」で働き始める。そこから、昼田の「人として生きる事」を考える、旅が始まる。それは、打ち砕かれることもあるが、それだけじゃあない。自分と対話しながら、昼田は学んで行く。「アロワナ書店」は幸福寺という駅にあるのだけど、これは吉祥寺が下地になってるんだろうなあ、と想像。町のサイズもそんな感じだし、ね。昨日、ロサンゼルスにある紀伊国屋に行ったけど、やっぱり店員さん達、エプロン着けてた。日本独特の習慣だけど、とても良いなあ、と思う。節度感と親近感と。そして、いつもとても丁寧に接してくれるので、こちらも優しい気持ちになれる。「アロワナ書店」も、とても良い本屋さんですよ。

クスノキの番人 東野圭吾  実業之日本社  9/1/20

September 1, 2020

東野さんのご本のファンになって、もう久しい。様々な登場人物がいたと思う。今回は、そう、大きな大きな「クスノキ」が、主人公である。この楠、普通の樹木ではない。大層不思議な力を持っている。新月と満月の夜に、「クスノキ」は我々の祈念に耳を傾けてくれる。そして、一つの家族が、長い年月受け継いで来た「クスノキ」の番人という仕事。これも、この本の大事なキイポイントだ。「番人」は、ただの守り人ではない。祈念する人々の、心の番人だ。そして、祈念に来る人は、意を決し自分に素直になって、「クスノキ」の祠に入る、そして祈念する。その祈念には、特別な蝋燭が必要で、この本を読んでいると、その芳香が身辺に漂うようだ。とてもスーパー・ステイシャスなのだが、その浮世離れ感が、逆にとても良い。テンポ感も良い。人間の方の登場人物達が、祈念という概念の中で、己の道を見つけて行く。感動の長編である。

炎上する君  西加奈子  角川文庫  8/19/20

August 19, 2020

これは、又、何と、変幻自在、無限のイマジネーション。新しい、西加奈子です。非現実の世界を描きながら、痛いほど、グングン心に届く短編集。フェチ感溢れる「私のお尻」かと思いきや、「ある風船の落下」のように、全宇宙を相手に、壮大なドラマを繰り広げる。改めて、西さんの引き出しの多さに、感服です。又、持ち前の、きっぷの良さや、潔さも、加わり、正に読み応え十分。そして、現実の山崎ナオコーラまで、登場するという、本当に何があっても不思議ではない世界観。其々大変短い8編ですが、そのどれも似て非なるかな。どうやって、編み出しているのか。未だに、ちょっとショック状態から、抜け出せない私です。インパクトの大変大きい短編集。

奇跡の人 原田マハ 双葉文庫 8月8日

August 8, 2020

原田マハさんのご著書で、期待外れという事は、一回もない!というか、毎回、感動である。この「奇跡の人」は、有名なヘレン・ケラーとアン・サリバンのストーリーを、日本の明治に移し、青森県弘前でのお話しにしている。もしかしたら、「いたこ」にヒントを得たのかもしれない。「ボサマ」(津軽地方の旅芸人のこと。多くは、盲人男性で、時として女性・子供も加わり、三味線を弾きながら家々をめぐり、米や小銭を恵んでもらう)かも知れない。津軽地方では、「門付」といい、明治の貧しい時代でも、自分の食べる分を削っても「ボサマ」を助けた。その中には、大変才能のある、ミュージシャンもいたのである。そこから、明治政府における「人間国宝」「無形文化財」の設置という所に持って行き、「ボサマ」の一人、狼野キワが、それを受賞する。そして、キワと、ヘレン・ケラーの日本版、介良(けら)れんとの、友情に持っていく。介良れんは、三重苦で、それを、去場安(さりば・あん)が、強烈な意思で、教育していくのである。去場安は、決して負けない。当時の、最上流階級に属し、9歳の時に、岩倉使節団とアメリカに渡り、22歳までの13年間をアメリカで教育を受け、何不自由ない状況であったが、自身も弱視であったためか、介良れんの教育にのめり込んだ。三重苦の為か、介良れんは自分をコントール出来ずに、6歳で去場安に出会うまで、家族から動物扱いで、蔵に閉じ込められていた。とまあ、ヘレン・ケラーとアン・サリバンのストーリーが、ベースになっている事は、明らかである。しかしそこが、原田マハさんの、才能である。明治の弘前の出来事にしてしまい、それが、何の不自然さもなく、逆に、新鮮でさえある。津軽三味線の音が、どこからなく聞こえて来る、「奇跡の人」。人間の持つ、深い可能性。人間としての尊厳。物語としての抜群の面白さ。是非、読んで見て下さい。

屋根をかける人 門井慶喜    角川文庫  8/7/20

August 7, 2020

最近、この歴史小説という分野にとても惹かれる。歴史上の大人物を題材にしている訳だから、役者に不足はなし。そこに。作家のイマジネーションが入り、「伝記」という枠から大きく離れ、独自の世界観に連れて行かれる。スパイスも熟成も、お好み次第!「屋根をかける人」は、明治にアメリカから伝道を目的として来日したW・M・ヴォーリズの、日本での一生である。一風変わった、しかも世間を少しハスに見る青年が、大事業家へと成長していく過程を、真摯に、かつエネルギー全開で、書かれている。明治の時代から、第二次世界大戦前後の動乱、復興と共に、つまり、日本の西洋化、国際化への道を、外国人(その後日本へ帰化)として、歩んだ。数多の苦難を乗り越え、成功を納めたヴォーリズ。彼は、建築家として、日本津々浦々どこまでも、声がかかれば、家、教会、社屋を建てて、建てて、建てまくった。そして、実業家として、近江兄弟社のメンタム(メンソレータム!)の輸入販路を確立し、日本にメンタムを浸透させたのである。そして華族出身の妻との二人三脚も、素晴らしい。本当に、「話しに困らない」大人物なのだ。しかし、何という事か、私はこの本を読むまで、ヴォーリズという人物のことを、全く知らなかった。門井慶喜は、ヴォーリズと昭和天皇との短い逢瀬(!)から、この感動の一冊を書いた。読み応えのある、長編である。

夢にも思わない  宮部みゆき 角川文庫 1/3/18 

August 7, 2020

久しぶりの宮部みゆき。一時はまって、昼も夜も「宮部みゆき」病にかかっていたけれど・・ 90年代の作品だから、学生達の日常が、今と全く違う。コンビニに行って、ガールフレンドに電話をかけたりするし!悪い評判が立っても、それは、クラスルームの中だったり、学校だったりで、ネットの恐ろしさはないし。だけど、人間の気持ちはいつも一緒。そして、日本人特有の性格も一緒。

これは、島崎と僕の探偵物語。陰惨な殺人事件の裏に、見たくない真実が隠れている。中学一年生で、これだけ「深読み」が出来る子はまずいないと思うけれど、設定としては面白いよ。そして、ストーリーの展開が抜群!「日本的な可愛い女子」の弊害と、その「可愛さ重視」の社会を支える、男子の視点と思い。最後のメッセージは、まさに「夢にも思わない」!

相撲は、ドラマだ。8月2日

August 2, 2020

昨日、15日間の7月場所が終了。涙の照ノ富士の優勝が決まった。こちらも、もらい泣きである。どれだけの、困難があり、葛藤があり、ここまで来た事か。。一時は、車椅子での移動に頼っていたという力士が、優勝である。度重なる怪我と再出場を重ね、カド番も何度か経験し、そして、最終的に序二段まで陥落。優勝インタビューで本人も言っていたように、横綱に近いと言われていた大関経験者が、序二段力士として生きる事。その葛藤に勝ち、地道に、自分に負ける事なく努力を重ね、ここまで来た。千秋楽の御嶽海戦に勝った時に、天を仰ぐようなポーズを見せた。とても力強く、良い顔をしていた。同部屋の照強が朝乃山を足取りであっけなく破った段階で、この優勝はほぼ決まっていたのかもしれない。照強の毅然とした物言いに、照ノ富士の援護に回るのは、当たり前という、感があった。

私の中での相撲観戦は、その力士だけではない。親方、その部屋の傾向、同部屋の力士達、相撲中継のアナウンサー、そして解説の親方衆。更に言うならば、部屋の親方の現役時代の取り口など、全てを引っ括めて。千秋楽の十両の巴戦での、立浪部屋の3人の力士達の態度が、その顕著な例だ。切磋琢磨し、お互いに支えながら、毎日を共にしているのが、とても良く分かった。これは、立浪親方の人柄とも、共通していると思う。私は、この3人の友情に、涙。。。北の富士さんが、親方と弟子の関係は、「子供であり、恋人だ」、とおっしゃっていたけれど、ご本人も大横綱で、二人の大横綱を育てたご本人の口から出た言葉は、とても説得力がある。

毎場所の事であるが、場所終了後は、数日「相撲ロス」に見舞われ、ガックリ。同胞のT子女史との、携帯片手にテキスト(日本のラインと同じ)の応酬観戦とも、しばしのお別れである。怪我の力士もいるが、夏巡業が中止なので、ゆっくり静養して、9月場所に備えて欲しい。朝乃山の綱取りも、近いと思う。今場所の経験から、正攻法だけではなく、裏を読み、柔軟に対処する相撲を身に付ければ、鬼に金棒だ。大ちゃんの定年に間に合うかどうか。。立浪部屋の明生が幕に戻ってくる。そして、千代の国が幕下全勝優勝で、関取にカムバック。これにも、涙。。相撲は、ドラマである。9月場所の番付けは、今月後半に発表されるらしいが、それを楽しみに、しばし相撲談義ともお別れです。

常設展示室  原田マハ 新潮社  2/17/20

July 31, 2020

いくつかの絵の周りに起こる人間模様を、重くならずに、真剣に書いている。いつも、ハッピーエンドばかりではないし、騙されることだってある。だけど、絵は嘘をつかない。国際的に活躍している女性もいれば、市役所の隅でひっそりと、業務に励む女性もいる。でも誰もが、自分の中の絵があって、その絵が心の故郷だ。帰っていける場所。私にはそういう絵はないけれど、音楽がある。

あと2日の7月場所  7月31日

July 31, 2020

なな、なんと白鵬の休場、そして、照ノ富士が朝乃山戦を制した13日目。今場所の行方が、更に混沌として来た。当初、朝乃山と照強の今日の一番は、不思議でしかなかったけれど、照強が照ノ富士と同門の伊勢ケ浜部屋の力士という事で、その真相が解明!相撲協会の計らいである。気の強い照強は、援護射撃で、普通の100倍も1000倍も、気を入れて行くに違いない。そして、昨日不戦勝で3敗を守った正代が、照ノ富士と。正代は、我々熟年スモジョに取って、もう目に入れても痛くない存在で、人が良いのか、気持ちが優しいのか、兎に角、気を持たせる存在である。頑張れ!今場所は、正代が鍵を握っていると言っても、過言ではない。そして、チャラ感を一掃した御嶽海が、心底強く、落ち着いた相撲を見せている。又、「元」がつく大関経験者、高安、栃ノ心、琴奨菊の頑張りも見逃せない。つまり、今場所は、近年相撲歴史の中でも、とても充実しているのです!

琴ノ若は、怪我から再出場で、今日は輝と。将来性大の力士なので、無理をせず、大事に後2日取ってもらいたい。大ファンの千代の国は、幕下優勝を前師匠の千代の富士(九重)の命日に、決めた。男気溢れる、千代の国らしい。涙を誘うインタビューであった。九重部屋は、全員師匠の命日に黙祷を捧げたということだが、千代大海(現九重親方)も、心意気がある。九重部屋の千代丸は今場所振るわず、十両陥落か。弟の千代鳳も、十両から中々幕内に戻って来れない。九重部屋の事になると、つい、熱くなってしまうのは、もちろん、千代の富士の大ファンであったから。今でも、心にいつもいる大力士です。

ベテラン妙義龍、玉鷲も、味を見せた取り組みで、両者とも9勝を上げている。小兵の炎鵬、石浦の調子が、イマイチ。兎にも角にも、今場所も2日を残すのみ。ロサンゼルスでの相撲中継が、夜中の12時から2時のため、日中体力温存作戦である。今夜も、ロサンゼルス相撲愛好会で契りを結ぶT子女史と、真夜中、お互いの家で、携帯片手に、熱い感想を交わしながら、相撲中継を楽しもう。(中日にも相撲ブログ書いたので、そちらも読んでね。私のホームページにあります。www.junkopiano.com)