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恩田陸 チョコレート・コスモス  朝日新聞社 10/7/18

October 7, 2018

恩田陸3作目!これも、期待通り。前回読んだ本は、デイープな音楽家の本だったけれど、今回は更にデイープな俳優のお話し。これも多分(私は俳優業を営んだ事がないので、想像だけど)、俳優という業をはるかに超えた人物を登場させる事で、ドキュメンタリー調でなく、ファンタジーとなり、成功しているのだと思う。主人公の飛鳥は、すべてにおいて超人間。その周りに、天体ではないけれど、いろいろな星が周り(キラキラの星もあれば、暗めの星座もある)、物語が生き生きと進む。”演じる”事に憑かれた人々の、”演じる事”を究極’に求める、終わりのない旅。そこにちょっと参加させてもらって、”演劇”の世界を見せてもらった。

蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎 9/28/18

September 28, 2018

恩田陸さんの「夜のピクニック」がとっても良かったので、それじゃあ、直木賞を取ったこの本も、と軽く手に取った本。ところがどっこい、何とピアノコンクールを題材にした、超大作。音楽にしたら、ワーグナーのオペラである。まあ。言ってみれば私の専門分野。冒頭で、コンクールの審査員の一人が、演奏者に対して非常な嫌悪を催す一節があるが、私も自分の分野であることもあり、「何だーー。知ったかぶりして!」というような、反応をしてしまうかと、思ったのだけど、この作者、大物である。コンクールのドキュメンタリーではなく、完璧で高貴な小説なのである。緻密な取材、インタービューをもとに(浜松国際ピアノコンクールを基盤にしているのは、間違いないと思う)、完璧なフィクションに仕上がっている。音楽のビジネスの現実的な部分を根本に、とても素敵なファンタジー。音楽コンクールを使って、人間の深淵に臨み、愛を語らい、葛藤を描く。「演奏家」である事の真実を、小説家がこれほどまでに描けるのか。。。びっくりするぐらい、「演奏家」の真実にも触れている。しかし一番大事な点は、相反するようだが、究極的に非現実であるところだ。。私の知る限り、登場人物達は、余りに素敵すぎ、大天才すぎる。でも、それで良いのだ。だって、これは、小説だから。それも、とっても素晴らしい一冊だからだ。

恩田陸 夜のピクニック 新潮社 9/17/18

September 17, 2018

中々、良い小説ですよ!高校生活最後の経験として(一年生も二年生も参加しているが)、夜を徹して長距離を歩き、そこでいろいろ話し、経験し、学び、次へのステップへの道筋を見つけるという、体育系でもあり、文科系でもある、総合小説。私自身も最近、女子中学時代の友人4人と、一泊旅行に行き、中年で似たような経験をした。旅を共にするのは、時間の共有だから、話しが沢山出来る。そして、学生時代(それも中学時代)の友人となると、カッコつける必要なし!今更化けても、意味がないのだ。すっぽんぽんで居られるのは(温泉入浴も入れ)、大変気持がよい。バカ話しの合間に、バスで隣に座った時など、相談事をしたりする。景色も良いし、食事も最高(私達の場合は!本の中の高校生達は、苦行である)!情報過多、インターネットに振り回される毎日を忘れ、こういう「時間」を共有するのは、人生の真の喜びだと思う。私はこの中学時代の友人達に、いろいろな場面で、そっと助けられて来たし、これからも、私の人生の大切な一部分になる事は、間違いない。「夜のピクニック」はそういう意味で、老いも若きも、楽しめて勇気をもらえる小説だと思う。是非お勧め!恩田さんの本、他も読んでみます。

盛り上がる9月場所! 9/14/18

September 14, 2018

久しぶりに上位陣が揃い、本来の「大相撲」の体をなしている今場所。海外でも大いに盛り上がっています。こちらの相撲中継は、午前12時から2時まで。私の主宰しているロサンジェルス相撲愛好会の皆さんも、必死の応援を連日、真夜中に続けています!稀勢の里と御嶽海の手形を飾り、私も連日祈るような気持ちで、中継を見ています。昨晩、両者とも、余り良い形で負けず、これからまだまだ続く場所が、心配です。相撲というのは、何と厳しいことか!鍛え上げられた巨体がぶつかり、「怪我」をするのが、ある意味当たり前で、それを回避する技も身に着け、「怪我」から回復後も、それを恐れずに、巨体に立ち向かわなければならない。並大抵の根性では、出来ない職業です。ちなみに、宇良は、怪我からの復活で、現在三段目です。。。幕内までの長い道のりを、再度怪我をせず、上ってきて欲しいものです。私の応援する千代の国関も、怪我で確か3段目まで落ち、這い上がってきた強者。40歳目前の安美錦も、怪我だらけだけど、再度入幕を果たすべく十両で必死。それが叶えば、自己の持つ最高齢での入幕記録を破ることにになり、凄いことです!幕下のかなり下位まで落ちている照ノ富士は、現在も休場中。引退はせず、再起にかけているとか。。

中盤に入った9月場所。とても良い刺激が、力士の間に流れている気がします。力士は多くを語らないけれど、それぞれの胸の内は、熱く、かつ複雑だと思います。力士に求められる結果へのプレッシャー。大変なものです。一人、花道を歩き、土俵下で自分の出番を待つ間、孤独ですよね。その間に、精神統一もしなければならない。どういう相撲を取ろうかという、道順も考えるかもしれない。テレビには映るし、しゃんとしていなければならない。すべての力士の皆さんに、エールを送りたいです。

破門 黒川博行 KADOKAWA 9/4/18

September 5, 2018

うーむ・・・・出だし好調!だけど、最後の3分の1は、どうやってこの本を終わらせようか、ばっかり考えていました!直木賞受賞作という事ですが、「本当?」というのが本音です。「ヤクザ」ライフを、面白く切り取り、発想としては最高だけど、枚数だけ多く、後半失速という感じです。しかし、半分くらい読み進んだところで、辞めるに辞められず、取り敢えず読破しました。半分くらいの枚数で、ビシッと!締めてくれたなら、最高得点を出すところでした。

怪笑小説 東野圭吾 集英社文庫 8/15/18

August 15, 2018

さすが、東野さん!大阪人のユーモアか、はたまた、超天才頭脳のなせる”怪笑”か。私は、東野さんの、超天才頭脳のなせる業と思いますね。9編の短編から構成されている、短編集。そのどれもが、完璧”怪笑”なのだ!ご本人の後書きに、それぞれの短編の由来というか、背景が語られているのも、大層よろしい。東野さんの、人間観察考とも言える、深くてけったいなお話しは、それぞれに、人生の深きを見、揶揄し、批判し、それはそれは、面白い。私の一番のお薦めは、最後に収めらている「動物家族」。怪談さながらのおぞましさに身震いするも、余りの真実に茫然自失するお話し。皆さまも是非、夏の夜長、怪笑をむさぼって下さい。

その時までサヨナラ 山田悠介 文芸社文庫 8/15/18

August 15, 2018

再び、旅の飛行機で読んだ本。その目的にピッタリだったと思う。複雑じゃないミステリーと愛の物語の融合作。ホラーに怯える事もなく、筋が複雑でないから、真剣に向き合わなくても、読み進める事が出来た。子供がカギを握るので、そこもほわーんとして、旅に丁度良い。そういう訳で、この本、私の旅のお供に最適の、伴侶でした!

告白 湊かなえ  双葉社 7/16/18

July 16, 2018

ああーー。誰でも愛されたいん、ですね。まさに、それを書いた本。娘を事故(いや、事件)で失った母親の辿る、巡礼の道。そして、その道の行く先々で、告白が始まる。「私には、こういう言い訳があって、こんな事しちゃいました!」なんていう。告白は、美しくない。うんと、醜い。そして、巡礼の最後に、恐ろしい復讐が待っている。「イヤミス」という新語まで生み出した湊さんの小説。私の読後感は、逆にすっきり爽やか。最後の復讐の場面が、簡潔でとっても良いと思う。是非読んでみて!

楽園 上・下 宮部みゆき 文芸春秋 7/10/18

July 10, 2018

以前にも読んだ本だけど、もう一度読み返す。一年間に渡っての新聞連載小説。きっと読者は、ワクワクして読んだ事と思う。だって、次から次へと新しい道が開けて、先が見えない洞窟探検のようだから。入口では予想も出来なかった展開。そしてそこから、枝分かれして、更に新しい冒険が広がる。旅に持って行って、飛行機の中で、ホテルで、と読み進めた。気持の優しい人達と、化け物達。その間に立つのが、サイコメトラーの”等”という子供。もちろん小説というのは、仮定のお話しなのだから、何の根拠がなくても良いし、何をキーポイントに持ってきても構わない。だけど、私にとって、”サイコメトラー”が、すべてのキーを握る小説というのは(SFなら断然OKなのだけど)、何故か、洞窟冒険だと思っていたのが、実はデイズニーランドの乗り物だった、みたいな、拍子抜け感がある。だって、サイコメトラーが人の心象を読むとすれば、すべての事が可能になってしまうから。でも、ストリーの展開としては、最高だし、ワクワクして読んだ事は。本当ですよ!そして、力作です。

NHKドラマ 「弟の夫」7/4/18

July 4, 2018

久しぶりの感動ドラマ!3回に亘って凝縮された日常のドラマが、家族の在り方について、鋭くも温かく、描かれていました。設定は、はっきり言ってフェアリー・テール(お伽噺)だけど、内容がとっても良かったです。だって、天真爛漫で、人を疑う事のない可愛い女の子と(両親の激しい言い争いの末の離婚を経験している)、無職だけど家賃収入だけで悠々と暮らしているお父さん(IT企業の戦士脱落組)、離婚した理由はお母さんの浮気、だけど元夫婦は健全な関係を保っているし、と、フェアリー・テールの理由を挙げたらキリがないのだけど、そんなことはどうだって良いのです!「家族」って何だろう・・というのが、とても伝わって来て、3回目では、大泣きしてしまった私です。そして何と言っても、元力士の把瑠都(相撲大ファンの私としては、特に思い入れてしまった!)が、素晴らしい演技をしていますね。もちろん演技の勉強をしたのだろうけど、多分元々から才能があったのでしょうね。とっても自然で、てらいがないんです。

ゲイの結婚というのが題材で、ついに日本でも取り上げられる時代になったんだなあと、正直思いました。私のとても仲良くしている友人の2組が同性婚で、周りにも、結婚はしていなくても、カップルとして、長年連れ添っている人も沢山いるので、改めて、考えることもない日常ですが、LGBQTのEqual Right については、アメリカでも常に問題提起されています。しかしこのドラマは、子供の視点から捉える事で、「問題提起」という社会現象ではなく、ヒューマニテイーとして、また、人間愛として描き切っています。そこが、感動の原点だと思います。もし、まだ見ていなかったら、NHKのオンデマンドで可能かもしれないので、是非チェックして下さいね。大感動間違いなしです。